耐震

熊本地震で倒壊した理由のひとつ「直下率」、あなたの家は大丈夫?

直下率

オオサワ創研の「住まいのコラム」をご覧いただき、ありがとうございます。
本日も、みなさまが知って得する住まいの情報をお届けいたします。

さて今回のテーマは「直下率」について。

 

 

先日2016年11月22日に、また福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震があり、沿岸部では津波も観測されました。
最近地震が日本全国で頻発しており、南海トラフの大地震が近々起きるだろうという報道もどんどん現実味を帯びてきています。とても不安ですよね。

大きい地震が来て家が倒壊してしまうと、これまで苦労して培ってきた様々なものが一瞬にしてなくなってしまいますし、住むところがなくなってしまうため、言葉にならないほどの喪失感が襲ってくるものと思います。
そのために耐震基準を満たした住宅を建てて、いつかくるかもしれない大きな地震にも最小限の被害に留まるための建物にしておきたいものです。ただ、2016年4月に発生した熊本地震では最新の耐震基準を満たした住宅でも、いくつかが倒壊してしまっていたことはご存知でしょうか。

その理由は地盤が弱さや、柱の固定が不十分だったなどの理由が考えられる建物もありましたが、その理由のひとつに、「直下率」の低さも原因のひとつであったことが専門家の中で問題視されており、最近話題になっています。

 

 

 

そこで本日のコラムは

「『直下率』とは何か?」
「一体何が起こったのか?」
「一体何が問題だったのか?」
「地震に強いと言われてきた免震ビルが、実は危ないかもしれない?」

でお送りしたいと思います。

 

■ 「直下率」とは何か?

「直下率」とは、1階と2階が繋がっている柱や耐力壁が入っている割合のことで、構造的なバランスを評価する重要な指標として使われています。

簡単に言うと、1階から2階まで1本の柱で繋がっていれば強度は高くなりますが、繋がっていない場合はどうしても強度が弱くなってしまいます。最近ではリビングを広くしたり、開放感を高めるために1階の開口を大きくする設計が流行っており、リビングを広くとったものの、その分2階の部屋は小さな部屋を押し込むような形で配置する必要があった場合は、どうしても1階と2階の壁や柱の位置が一致しなくなるのです。

そしてこの直下率は「壁直下率」と「柱直下率」の2つに分けられます。

  • 壁直下率・・・2階建て木造住宅の2階部分の間仕切りの真下に、1階の間仕切り(建具含む)がどれほど存在するのかの割合
  • 柱直下率・・・2階建て木造住宅の2階の柱の真下に、1階の柱がどの程度存在するのかの割合

この壁直下率は65%以上、柱直下率は60%以上確保することが推奨されており、壁直下率は60%以上、柱直下率は50%以上確保することが望ましいと言われています。

ただ実際には、この直下率は現在の耐震基準には直下率にまつわるルールが全く盛り込まれていないのです。

 

■ 一体何が起こったのか?

そもそも、阪神・淡路大震災後の2000年に定められた現在の建築基準法では、震度7クラスの地震では即時倒壊しないレベルの耐震性を有する住宅しか建築できないこととなっています。
この耐震性を「耐震等級1」と言い、以降2級、3級とその強度が上がっていきます。

1級

数百年に1度発生する地震の地震力(震度6~7)に対して、倒壊・崩壊せず、数十年に1度発生する地震の地震力(震度5強程度)に対して損傷しない程度
2級 1級の地震力の1.25倍の地震力に対抗できる
3級 1級の地震力の1.5倍の地震力に対抗できる

 

熊本地震で大きな被害を受けた益城町では、この強化新耐震基準で建てられたはずの住宅が1階部分が押しつぶされるなどして、51棟も全壊したとのことです。そしてこれまで絶対に倒壊しないと考えられてきた、耐震等級2の住宅も倒壊していたものがあったのです。

 

■ 一体何が問題だったのか?

もちろん、前述の全壊・倒壊してしまった建物のなかには、他の理由が大きな理由となったものもあるとは思いますが、この直下率が現行の耐震基準に盛り込まれていないことは大きな問題のひとつと言っていいでしょう。
直下率が下がると耐震性が損なわれるにも関わらず、これを考慮して建物が建てられていないため、直下率が低くなる設計で作られた住まいが増えています。

このまま南海トラフ巨大地震が発生してしまったら・・・どんな状態になるのかとても不安になってしまいますね。これから住まいを建てる場合は、可能な限り耐震等級3の建物にし、耐震制度を高めた建物としていきたいものです。

また最近の建築業界では耐震等級3よりさらに精度の高い、「耐震等級3+制振」が人気となっています。これから住まいを建てる方は、対審制度が高い建物を検討いただき、もう建てられた方は検査などを行って不足があるようであれば耐震リフォームを検討ておいた方が無難なのかもしれません。

 

■ 地震に強いと言われてきた免震ビルが、実は危ないかもしれない?

また地震に強いと言われ、最近非常に増えている「免震」ビルですが、実はこの免震構造にも弱点があることがわかってきました。免震は「短周期」地震には強いのですが、「長周期」地震にはめっぽう弱いのです。

東日本大震災のときにとても話題になりましたが、都心の高層ビルがゆらゆらと揺れる姿はとても衝撃でした。

免震はゴムを活用して地震の揺れを吸収させているのですが、この想定外の揺れに対して免震ゴムは非常に弱いのです。

活断層による自身は長期的地震動が起きやすく、実際熊本地震では東日本大震災の10倍近い周波数の地振動が起きたのです。もし揺れがゴムの限界を超えてしまうほどの長期的地震動の都市直下型巨大地震が起きたら、大都市にある免震構造マンションや免震構造の高層ビルは一体どうなってしまうのでしょうか・・・。

 

 

■ まとめ

いかがでしょうか。

デザイン重視の建物にニーズが集まってしまうため、一階のリビングを広くとる。そのために壁を取っ払って開放感を出す。その建物は国の定める耐震基準では合法的であるため、結果的に非常にもろい木造住宅が合法的に建てられてしまう。
とても問題がある状態がそこにあります。

最近2017年1月25日に放送されたNHKの「あさイチ」、NHKスペシャル 「あなたの家が危ない ~熊本地震からの警告~」や、TBSの「池上彰のニュース2016総決算!今そこにある7つの危機を考える!日本が危ない」でも特集されたため、問い合わせが多くなっています。これまで大きな地震の度に建築基準法が変更されてきたので、この度の反省を踏まえ新しいレベルの建築基準になることを願っています。

そしてこの地震大国である日本で、次来るであろう南海トラフ大地震などの大きい地震で悲しい思いをする人がひとりでも少なくなればと思います。