お金

空き家対策特別措置法が制定された今、はたして空き家は資産か負債なのか

空き家窓

オオサワ創研の「住まいのコラム」をご覧いただき、ありがとうございます。
本日も、みなさまが知って得する住まいの情報をお届けいたします。

さて今回のテーマは「空き家問題」について。

 

 

みなさまは誰も現在住んでいない住まい、いわゆる「空き家」をお持ちでしょうか。
親御様などから譲り受け、思い出が詰まっていたり、いつか資産になるかもとそのままにしていたり。

ですが少子高齢化が進む一方で、新築物件が年間約100万戸のペースで建築されているため、東京や大阪などの都市部でも超一等地を除いて住宅が余り始めてきているため、家は資産ではなく負債となってしまうかもしれない時代に突入しました。

 

 

そこで本日のコラムは

「空き家が問題になる理由やリスクとは?」
「空き家対策特別措置法とは何なのか?」
「特定空き家と指定されないためには」

でお送りしたいと思います。

 

 

空き家が問題になる理由やリスクとは?

空き家

このコラムを読んでいただいているみなさまの中にも、自分が生まれ育った実家などを壊してしまうのは寂しいと、なんとなくそのままにしているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。または更地にすると固定資産税の優遇措置が外されてしまうため、決断の機会を逃してしまっているという方も多いはず。もしくは今後譲り受ける予定だけど、その建物の利用方法に迷っているという方もいらっしゃるでしょう。

そんななか、2015年5月に「空き家対策特別措置法」を政府は完全施行しました。これまで各自治体からの「お願い」ベースでしたが、法律の後ろ盾を得たことから「指導」することが可能となりました。

とはいえ、自分が生まれ育った生家を更地にしたり手放すのは簡単には受け入れがたいもの。なぜ政府がここまで法整備をし、そもそも具体的には空き家の何が問題なのでしょうか。

 

空き家を放置することで懸念される問題とは

空き家を長年放置することで起こる問題やリスクは、下記のようなものが代表的にあげられます。

・定期的な設備の点検や通風、通水などが行われないため建物が老朽化してしまう
・雑草などが繁殖してしまい、周囲の街並み景観を乱す恐れ
・不審者の不法侵入や、粗大ごみなどの不法投棄、放火などの温床となりうる防犯上の不安
・地震や台風などの災害が発生した際に、倒壊や屋根瓦などが吹き飛ばされて起こる周辺への防災上の不安
・野良猫やネズミなどが棲みついてしまい、危険度の向上悪臭の元となってしまう恐れ
・特定空き家に指定されることでの、固定資産税や都市計画税の大幅な増税

などが主な問題でしょう。

 

地域経済に与える問題

まちづくりという大きな視点で空き家問題を見た場合には「経済的に非常に深刻な不利益や損害を与える、著しい迷惑」として捉えられてしいまうのです。

これまで家は人が住むと傷んでしまうという考えが一般的でした。しかし実際は人が住んでいた方が日常的にメンテナンスが行われるため、建物自体の劣化スピードは抑えられます。そして、空き家ばかりの地域は資産価値が低下してしまい、新しく引っ越してくる人も少ないため、結果として街の活気や魅力が失われてしまうのです。
実際北海道夕張市の空き家率が33%となった2007年には財政破たんをおこしてしまい、アメリカミシガン州のデトロイト市も空き家率が29%を超えてしまったため、財政破たんを起こしてしまっています。

「空き家率が30%を超えると自治体は財政破たんする」といわれており、これから空き家問題に関する施策が進まない場合は、2033年の空き家率は30.2%となるという野村総研の調査結果予測も出ています。これは自治体レベルでは収まらず、国全体が財政破綻してしまう可能性があることから、そんな危険な空き家を減らすため、政府も「空き家対策条例」から「空き家対策特別措置」にまでレベルを上げ、本気で空き家問題に取り組み始めたのです。

 

お金の問題

では危険な空き家にしないためにはどうすればいいのでしょうか。定期的に清掃や設備のメンテナンスなどが行えればいいのですが、遠方などであればその費用と手間が大変です。

そのため、民間の住宅業者などが行う「空き家管理サービス」が近年とても話題となっており、だいたい年間12万円ほどが相場です。

固定資産税にこの費用がプラスでかかるため、これは難しいと売却や賃貸住宅としてなどの活用を考えることもあるでしょう。ただ共有相続した場合にいざ活用しようと、相続した空き家を手放そうと思っても、共有者全員の合意がなければ売ることも貸すことも壊すこともできないという問題はよくぶち当たってしまうケース。共有者全員の合意があったとしても、実家の荷物の整理にも費用がかかり、業者に委託すると100万単位での見積もりが出ることが多いため、二の足を踏んでしまうのです。

ではそれでは厳しいと、相続しないという選択を考えられる方もいらっしゃるでしょう。ですが家屋と土地の相続だけを放棄することは、現行の法律上ではできず、相続放棄する場合は家だけではなく、資産全ての相続を放棄しなければいけないのです。そのため事前に家族で誰が相続し、管理していくのかよく話し合っておくべきでしょう。

 

空き家対策特別措置法とは何なのか?

空き家ドア

空き家対策特別措置法ができた理由とはなんなのでしょうか。様々な問題の解決を講じるために出来た措置法ですが、特に下記2つの目的が大きいものと言えるでしょう。

危険な空き家を減らす目的

2015年5月に完全施工された「空き家対策特別措置法」は、危険な空き家を減らす特別措置法であることは前章で述べました。この空き家対策特別措置法は自治体ごとに空き家を調査し、廃屋同然になっている物件を「特定空き家」として認定し、所有者に適切な管理をするよう指導を行っていくものです。

この指導を無視し続けた場合は、勧告を受け、固定資産税は更地と同様の6倍に跳ね上がり、さらに正当な理由なく何も措置を講じなかった場合は「行政代執行」という形で所有者に代わって行政により建物を取り壊され、その代金も請求されるようになりました。

 

実際の空き家所有者を把握する目的

空き家対策特別措置法ができた理由として「危険な空き家を減らし、地域の安全と発展を保つ」という意味はこれまで述べたとおりですが、空き家所有者をきちんと把握するための対策も盛り込まれています。
空き家所有者を把握するためには不動産登記簿を確認することが普通ですが、不動産登記には「表示に関する登記」と「権利に関する登記」という2種類があり、「権利に関する登記」欄は任意のため、空き家所有者がなくなって相続しているにもかかわらず、名目上の権利者はそのままで、実際の空き家所有者は相続者となっているケースが非常に多いのです。そこで固定資産税課税などの目的で保有した情報を、空き家所有者の把握などのために利用することが可能となりました。

 

「特定空き家」と指定されないためには

朽ちた建物

空き家対策特別措置法が制定され、自治体ごとの立ち入り調査が可能となり、空き家調査の結果廃屋同然になっている物件を「特定空き家」として指定し、所有者に適切な管理を行うように指導できるようなったことは前章でお伝えいたしました。特定空き家に指定されたあと、自治体から改善の勧告を受けると、土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されず、更地状態と同等で課税されてしまいます。また、命令違反をすると最大50万円以下の罰金や行政代執行の可能性まであるため、早めの対策を講じるべきでしょう。

では、どのような状態であると特定空き家と指定されてしまうのでしょうか。

・倒壊など、著しく危険となる恐れがある状態
・著しく衛生上有害となる恐れのある状態
・適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全のため、放置することができない状態

などが特定空き家に指定される主な状態です。

特定空き家に万が一指定された場合は、各自治体から指導のあった不適切箇所を改善すれば、特定空き家から解除されますが、できればそもそも特定空き家として指定されないよう管理すべきでしょう。

 

特定空き家に指定されるとすぐ固定資産税は上がるのか

特定空き家に指定されたからと、すぐに固定資産税や都市計画税が上がるわけではありません。固定資産税や都市計画税は毎年1月1日が基準日となっているため、万が一特定空き家に指定された場合も、年内にその状況を改善すれば住宅用地の特例を引き続き受けることが出来ます。
なんのことにせよ、問題は年内に解決して気持ちのいい年始を迎えたいものですね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

非常に不安になった方も多いのではないでしょうか。かくいう私も実家を譲り受ける予定なので、この問題を認識したときにはどうすればいいのか悩みました。

これまで暗い話ばかりしてきましたが、また一方で最近は都会の人が田舎暮らしをしたり、空き家から安くリフォームするというニーズが高まっているのも事実です。空き家ビジネスが盛んとなっており、自治体で空き家バンクと称し空き家の有効活用を促す動きが増えています。
埼玉県秩父市や、千葉県南房総市、香川県三豊市、石川県能登町、鳥取県日南町、広島県尾道などでは、「空き家コンシェルジュ」や「空き家再生プロジェクト」などと住宅情報を発信していることで特に有名です。
上記以外にも、自治体が空き家問題の対応を行っていたり、物件調査を格安でお願いできたり、信頼できる業者の紹介などを行っている場合がありますので、ぜひ不安に思った方はぜひ一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

 

いざその時になって悩んだりバタバタと対応するのではなく、はやめはやめに家族みんなで話し合い、これから実家を譲り受ける予定の方は親の気持ちや家族の思い出を大事にできるよう、そして子どもに譲る予定の方は子どもや近隣にとって負債や迷惑となってしまうという最悪な状態を避けられるよう、日ごろから準備をしておきましょう。