投稿日:2017.02.07 |
断熱材の種類とそれらの比較。そして断熱住宅の未来について
オオサワ創研の「住まいのコラム」をご覧いただき、ありがとうございます。
本日も、みなさまが知って得する住まいの情報をお届けいたします。
さて今回のテーマは「断熱材」について。
これまでのコラムでも、断熱材の重要性を何度もお伝えしてきました。
この断熱材の選び方によって大きく変わる光熱費もそうですし、少し前に書いた結露についても断熱材によって大きな性能差があります。
断熱材は今の世の中で快適な住まいを実現するために、非常に大切な建材ですが、とても専門的であるだけではなく、非常に多くの種類があるため、どの断熱材を入れるべきなのか、そして選べばいいのかわからなくなる方が多いでしょう。
そこで本日のコラムは
「断熱材とは何なのか、改めて知ろう」
「たくさんある断熱材の種類と、それらの比較をしよう」
「断熱材を入れる前に知っておきたい、いくつかのこと」
でお送りしたいと思います。
■ 断熱材とは何なのか、改めて知ろう
断熱材という建材についてなんとなく知っているものの、いざ聞かれると答えるのに戸惑うという方も多いのではないでしょうか。実際、私も最初断熱材について勉強したときに、知らなかったなと思ったことも多く、その多くの種類と奥の深さに驚いたものです。
今一度、断熱材について知ることから始めましょう。もうわかっているよ!という方はここは読み進めていただければと思います。
断熱材の仕組み
断熱材は繊維や発泡樹脂などを使って空気を固定し、熱が伝わりにくくしています。繊維を用いて空気を動かしにくくしたり、空気を小さな粒上にするなどの技術を用いている建材です。動かない空気の層を作ることで、外気温から建物内の熱伝導率を低くしているという仕組みなのです。
快適な冬や夏を過ごすために意識したい住まいの体感温度のポイントとは
そしてたまに断熱材を入れることで、冬はいいけど夏場暑くなるじゃないかといって断熱材を入れることに消極的な方がいらっしゃいますが、それはそのための対処法を施していない場合のはなしです。断熱をすることで、冷たい空気の侵入を防ぐだけではなく、暑い空気の侵入を防ぐという効果もあるのです。そのため少しエアコンをかけるなどすれば、すぐ過ごしやすい環境を作ることができるのです。
そして断熱は家全体を断熱材ですき間なく覆うことが基本ですので、部屋と部屋の温度差が少なくなります。日本では温度差が原因で起こる「ヒートショック」による入浴中の事故死だけでも、年間1万9000人以上にも上ると言われています。これは交通事故死の約5000人をはるかに上回る数なので「断熱や冷暖房はいらない!」と言われるご年配には、ぜひ高気密高断熱な住まい環境づくりをお考えいただきたいと思っています。
住宅の断熱性能を高めるために重要な「断熱材」と「断熱開口部材」
断熱といえば、壁や床などに断熱材を施せば、それでいいんだと思われている方がほとんどです。ですが、それだけでは断熱性能としては物足りません。開口部の断熱性能は窓ガラスと建具の組み合わせによって決まるため、窓や扉などの開口部に用いる「断熱開口部材」も重視しなければなりません。
これを私たちの日常に例えるならば、冬の寒い寒い日にたくさん厚着をしているものの、足首や胸部がスカスカに開いていたら寒くて風邪をひいてしまうのと一緒なのです。断熱性能をあげるためには、一部分だけに断熱を施すのではなく、家全体をすき間なく、すっぽりと包まなければならないのです。
暑さの7割、寒さの6割は窓が原因ともいわれますので、その重要性がご理解いただけるのではないでしょうか。
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断熱性能を高めて、高気密高断熱な住まいにするメリットとは
断熱性能が高く、高気密高断熱な住まいに住むことで得られる主なメリットについては、以下のようなものがあげられるでしょう。
- 冷暖房費の削減
- 一年中、快適な室温の中で暮らせる
- 家全体の温度差が少なくなり、廊下やお風呂場でもつらくない
- 家全体の温度差が少なくなり、ヒートショックの予防となる
- 結露しづらくなり、カビやダニの発生を抑えることができる
- 内部結露しづらくなり、家の劣化を抑えられる
例えば最初にあげた冷暖房費削減については、国土交通省が発表したデータによると全く断熱をしなかった場合と、現在の省エネ基準の仕様にした場合、1年間で約8万1000円の削減となるとのこと。これは30年間でいえば、なんと約243万円の違いになります。
もちろん、冷暖房費以外にも上記であげたような様々なメリットも付随してきますので、そのコストパフォーマンスはとても大きなものとなるでしょう。
これからの「断熱」について
これから、断熱性能はどんどん上がっていくでしょう。いや、上がっていくのです。
というのも、1999年に省エネ基準が大きく見直されました。この見直しは「次世代省エネルギー基準」と呼ばれており、「平成11年基準」や「H11基準」などと表記されたりもします。
その次世代省エネルギー基準が、さらに2013年10月に見直されて施工されました。住宅ではない建築物にはすでに2014年4月から完全施行されているのですが、住宅については1年遅れの2015年4月より新省エネ基準が完全施行されています。
ただし現時点ではそのせっかくの新省エネ基準も強制力がない状態であるのですが、2020年を目途にすべての新築住宅は義務化されるのです。
現在日本の住宅における断熱性能は諸外国より劣っていると言われており、残念ながら韓国や中国などのアジアの国々と比べても断熱性能は低いのが現状です。ですが2020年の義務化によって、省エネの重点項目を断熱性能から設備機器の性能へと移すため、国内全体の住まい断熱性能向上が期待されています。
そしてこの新省エネ基準では、現在流通している製品の中で最も省エネ性能に優れている機器以上に性能の基準を設定する、「トップランナー基準」を採用しました。このことで住宅性能表示制度における省エネ性能最高ランクは現在「等級4」なのですが、新たに「等級5」を設けて2020年に予定されている新省エネ基準の義務化では、「等級4」をすべての新築住宅がクリアしなければならないと定めています。
このことからわかるように、今後住宅の断熱性能は全体に跳ね上がりますので、これまで以上に過ごしやすい住まいが実現されるのです。そのため、今後住宅の新築やリフォームを行う場合は、2013年の新しい省エネ基準に合わせた住まいにすべきなのです!
たくさんのことが変わる2020年。その後には住宅のゼロエネルギー化を実現するロードマップもすでに引かれています。
近い未来に次々と待っている住まいと住みやすさの変革、とってもワクワクしますね!
■ たくさんある断熱材の種類と、それらの比較をしよう
断熱はとても奥の深いもので、たくさんある種類ひとつひとつにはメリットデメリットが存在します。
そしてすべての人に普遍的に、絶対これがいいですよ!とおススメのひとつを言いにくいのも事実です。
たくさんある断熱材の中から、それぞれのメリットデメリットを踏まえた比較をし、どれが自分にとってベストなのか考えてみましょう。
▼ まずは断熱材の施行方法、「重鎮断熱」と「外張り断熱」の違いから
重鎮断熱とは
重鎮断熱とは、木造住宅の柱と柱の間に断熱材を入れる方法です。
壁の内側に空間がありますが、その柱と柱の間にある空間に断熱材を入れる、最もオーソドックスな方法です。グラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材を壁一面に張ることが多いのですが、セルロースファイバーや粒状のグラスウールを機械で吹き込む「吹き込み工法」や、ボード状に加工した断熱材をはめ込む「パネル工法」も、この重鎮断熱工法に含まれます。
鉄筋コンクリート造では、断熱層が構造躯体の内側にある場合「内断熱」と呼びます。
重鎮断熱のメリット
- 柱の奥行き分スペースがあるため、厚い断熱材を入れることができる
- オーソドックスな方法であるため、比較的安価に導入できる
- どのような間取りやデザインでも比較的柔軟に対応できる
- 用いることができる素材の種類が多い
- 外壁仕上げ材に影響しない
重鎮断熱のデメリット
- 筋交いなどがある場合など、断熱材の種類によっては断熱材をすき間なく詰めることが難しく、断熱性能を著しく落とす原因となりうる
- 機密性の確保が難しく、防湿層を設けなければ内部結露を起こしやすくなる
外張り断熱とは
外張り断熱とは、ボード状の断熱材を柱や梁などの構造躯体の外側に張って、木造住宅全体を包む方法です。
すき間なく貼り付けることができることと、室内側にも気密シートを張ることが多いため熱ロスが少ないことから、寒冷地や欧米ではこちらの方法が多く採用されています。
鉄筋コンクリート造の場合は「外断熱工法」と呼ばれます。
外張り断熱のメリット
- 構造躯体を家の中に入れるため、重鎮断熱と比較して構造材躯体が長持ちしやすい
- 断熱材の取り付けが容易である
- すき間ができにくいため、結露しにくい
外張り断熱のデメリット
- 構造躯体外側に断熱材を張り付けるため、重鎮断熱に比べて厚い断熱材を張りにくい
- 壁に厚みが増すので、狭小敷地では難しい場合もある
- 重鎮断熱と比べて、施工コストが高くなる
- 重鎮断熱よりは、断熱材自体は経年劣化しやすい
- 外壁材をしっかり固定する下地を設置しなければ、外壁材が落下してしまう恐れがある
▼ 次に、それぞれの断熱材の種類と違いについて
施工方法について見てみましたが、断熱材の種類を見てみたいと思います。
大きな分類として繊維系の断熱材と、プラスチック系の断熱材があります。これらにもそれぞれ特徴がありますので、自分に最適なものはなにか考えてみましょう。
分類 | 断熱材 | 熱伝導率 | 防音・吸音 | 防火不燃 | 透湿抵抗 | 価格比率 |
---|---|---|---|---|---|---|
繊維系断熱材 | グラスウール | 断熱材0.038 | 熱伝導率〇 | 防音・吸音◎ | 防火不燃△ | 価格比率1.0 |
ロックウール | 断熱材0.038 | 熱伝導率〇 | 防音・吸音◎ | 防火不燃△ | 価格比率1.0 | |
セルロースファイバー | 断熱材0.040 | 熱伝導率◎ | 防音・吸音◎ | 防火不燃△ | 価格比率4.0 | |
発泡プラスチック系 断熱材 |
ポリスチレンフォーム |
断熱材0.028 | 熱伝導率△ | 防音・吸音△ | 防火不燃◎ | 価格比率2.0 |
ポリスチレンフォーム |
断熱材0.034 | 熱伝導率△ | 防音・吸音△ | 防火不燃◎ | 価格比率2.0 | |
ウレタンフォーム (ボード) |
断熱材0.024 | 熱伝導率△ | 防音・吸音△ | 防火不燃◎ | 価格比率3.0 | |
ウレタンフォーム |
断熱材0.035 | 熱伝導率△ | 防音・吸音△ | 防火不燃◎ | 価格比率2.5 | |
ポリエチレンフォーム | ||||||
フェノールフォーム | 断熱材0.020 | 熱伝導率△ | 防音・吸音△ | 防火不燃◎ | 価格比率3.0 |
「グラスウール」の特徴
繊維系の代表と言えば、このグラスウールです。
リサイクルガラスなどを溶かし、細い繊維状に加工した軽い断熱材で、床や壁、天井など住宅のほとんどの部位に使用できます。そして厚みが増して、密度が高くなり、繊維糸が細くなればなるほどに優れた断熱性能を発揮します。柔軟性に富み、木材の乾燥や収縮に対応でき、柱と柱の間に隙間なく施工していく充填断熱工法に適してします。
無機質なので燃えず、有毒ガスも発生しません。また元々の素材がガラス繊維のため、シロアリなどの被害を受けないことや、火災にも強いのも大きなメリットです。そして安価な部類とされている上に、防音効果もあります。そのことから防音といえばグラスウールというほどで、映画館やコンサートホールなどにも多くの利用されています。一般住宅でも、楽器の演奏や音楽鑑賞が趣味の方や、シアタールームが欲しい方からのご希望が多いのも、このグラスウールの特徴です。
このグラスウールを代表とする「繊維系断熱材」は価格が安価な反面、材料の中に水蒸気が入りやすく、性能が落ちる可能性があるので、防湿施工をしっかりと施す必要があります。
「ロックウール」の特徴
鉄炉スラグや玄武岩などを高温で加工し、細い繊維状にした断熱材です。
床・壁・天井など住宅のほとんどの部位に使用でき、ビニール袋に包まれた形状で出荷され、家の外壁と内壁の間に詰め込むように使用します。そして650℃以上の熱にも耐えられるほど熱に強く、有毒ガスも発生しません。
耐熱性に優れた鉱物を高温で溶かしてごく細かい繊維状にした断熱材であるため、防火・耐熱性、撥水性、耐久性、防音・吸音性に優れ、床・壁・天井などに用いることができます。充填、外張り、吹き付けなどの工法に適した製品も揃っています。
「セルロースファイバー」の特徴
パルプ、新聞古紙などを綿状に粉砕し、木質の繊維を利用して作られるのがセルローズファイバーです。1本1本の繊維の中にある空気泡が高い断熱性を発揮し、これらの原料にホウ酸や硫酸アンモニウムを配合するので、難燃性や防虫効果もあります。
このセルロースファイバーは、機械を使って柱と柱の間などに吹き付けます。筋かいが通るような施工が難しい場所でも、確実に断熱材を入れられるのが特長です。
また、木質繊維のため素材そのものが湿気を吸収・放出することから、結露が起きにくいというメリットがあります。コストとしては比較的高価な部類に入り、施工に手間がかかりますが、エコの観点から注目する方が増えている断熱材です。
「ビーズ法ポリスチレンフォーム」の特徴
ポリスチレン樹脂に発泡剤と難燃剤を加えてビーズ状にしたものを、蒸気で発泡させます。ひとつひとつの粒の中に気泡を持つため水や湿気に強く、軽くて緩衝性の高い断熱材なので、断熱材が自重で形が崩れたり壁内部で落下したりといったトラブルもないなど施工性にも優れています。
一般に「発泡スチロール」とよばれて梱包材としても広く使われている「ビーズ法ポリスチレン」は、連続発泡された板状のものと、現場で吹付け発泡するタイプの商品があり、「Expanded Poly-Styrene」の頭文字をとって「EPS」とも呼ばれます。
水を通しづらいことや耐久性に優れているというメリットと、施工が容易であり、比較的安価な部類なので利用範囲が広い断熱材です。
押し出しポリスチレンフォームの特徴
ポリスチレン樹脂や難燃剤、発泡剤を混ぜ合わせ、連続発泡させながら押し出してボード状に成形します。
薄くても断熱効果が高く、堅くて耐圧力があるため、外断熱に適した断熱材です。また水に強く吸湿しにくいため、基礎断熱でもよく用いられます。
硬質ウレタンフォームの特徴
ポリイソシアネートとポリオールを主原料に、発泡剤や触媒などを混ぜて生成します。ボード状のものや、現場で直接吹き付けるタイプもあります。
断熱材を建物の外側に張り付ける外断熱工法にも適した断熱材で、気泡には熱伝導率が極めて小さいガスが含まれているため、優れた断熱性を持ち、薄くても十分にその効果を発揮します。「自己接着性」という他の断熱材にはない素晴らしい特長があり、現場発泡のものは接着剤を使わなくても金属・合板・コンクリートなどの表面に直接発泡することで、対象物に強く接着した断熱層がつくれることが大きな特長です。
高発泡ポリエチレンフォームの特徴
細かな独立気泡で発泡された、耐吸湿・耐吸水性の高い断熱材です。
他のボード状の断熱材に比べて柔軟性が高く、壁や柱の間にも充填しやすいのが特長です。床・壁だけでなく屋根や配管カバーなど、断熱・防水と多彩な用途があります。発泡剤に特定フロンが使用されていないため環境にやさしく、燃えた時の有害性も少ないことも良いところです。
フェノールフォームの特徴
フェノール樹脂に発泡剤、硬化剤などを加えてボード状に成型します。断熱性が高いだけでなく、素材の安定性が高いため、長期間にわたって優れた断熱性能を発揮します。近年では壁に使用する釘やビスが錆びないようpH値を調整した製品もあります。130℃までの使用に耐える耐熱性を持ち、耐火性にも優れ、炎を当てても炭化するだけで煙や有害ガスがほとんど発生しないため、不燃・準不燃材料の認定を受けています。また、カッターナイフなどで加工しやすいというメリットもあります。
この中でも「高性能フェノールフォーム」は、最高ランクの断熱性能を備えています。
■ 断熱材を入れる前に知っておきたい、いくつかのこと
断熱材には多くの種類があり、また、施工方法もさまざまです。
では、いざ断熱材を入れようと思った時、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
住宅メーカーや工務店によって、提案する断熱方法が異なることもある
住宅メーカーや工務店によっても、提案する断熱方法が異なることもあります。
もちろんそれは、それぞれの考え方の違いだけではなく建物の構造や工法によっても変わります。またそれぞれの地域の気候風土や建物によって、異なることもあります。そのため費用も含め、それぞれの建物や地域に適した素材や工法を選ぶことが重要です。
隙間なく、きちんと正しい施工方法で工事が行われているか確認
断熱材を施工する上で一番重要なのは、すき間なく施工することであると何度もお伝えしてきました。
しかし実は施行会社によって、施工方法や断熱材の種類によって得意不得意があるのです。充填断熱の場合は、しっかり隙間なく断熱材を設置するのにかなり丁寧な作業や防湿層の施工が必要であるのですが、あまりにも早く完工してしまうと不十分な施工をしてしまっている恐れもあります。また外張り断熱の施工には、専門性が問われます。
いくら気に入った会社でも、慣れていない断熱材での施工依頼をするのは少し不安ですし、使用する断熱材の特徴や工事内容、選択理由などに関して、しっかりとした説明をできる知識と施工実績のある会社を選ぶことが大切でしょう。過去の施工実績などをしっかりと確認し、どの会社に依頼するかをじっくりと決めましょう。
断熱材の性能を維持しているかどうか、定期的にチェック
繊維系の断熱材は、水を吸って性能が落ちることがあります。
干したばかりのふかふかしているふとんはとても気持ちのいいものですが、湿ったふとんで寝ても不快な思いをするだけです。これは寝ている間の人体からの汗や水蒸気をふとんが吸収し、断熱性が低下するからなのですが、住宅の断熱材についても同じことが言えるのです。しかし、残念なことに住宅の断熱材は濡れてしまっても干したり、簡単にはやりかえることができません。
また断熱材の種類や施工方法によっては湿気を含むことで重くなってしまい、形が崩れてすき間ができたりもします。そのため、水分を吸いにくい断熱材を利用することが理想です。
しかし湿気を入れないように施工することは、とても難しいものであり、断熱施工には専門職もいるほどなのです。しかし多くの場合、大工さんが断熱材も施工しているという現状もあります。残念ながら大工さんは気密・断熱の重要性をしっかりと理解している人ばかりではない、ということを知っておきましょう。
そしてプラスチック系断熱材にも、性能が落ちる要素があります。高性能断熱材は空気よりも断熱性能の高いガスを使って性能を高めています。このなかには時間が経つと発泡ガスが空気と入れ替わり、性能低下をおこすものがあるので注意が必要です。
断熱性能のオーバースペックにもご注意
それぞれに性能や価格面でのメリット・デメリットがあるなかで「とにかく、いっちゃん良いものをやってくれ!」と依頼される場合があります。ただ、それはそのお客様の環境では「オーバースペックになってしまう」こともあるのです。
寒冷地とそうでない土地とで、同じ環境下で断熱レベルを目指してしまうと逆に過ごしにくい住まいになったり、かける必要のない費用をかけてしまうことになってしまいます。
特に大手ハウスメーカーでは一定の「規格」で収めるのが通常ですので、知らず知らずのうちにオーバースペックになってしまっていることも充分考えられます。それぞれのおうちに使用した建材(木の質など)との組み合わせ方や、その土地に合った断熱の方法も様々ありますので、依頼する業者に詳しく確認や相談をしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
今回はこれまで様々な記事でご紹介してきた断熱材にスポットを当ててみました。
家の過ごしやすさに大きな影響を与える部分であるのですが、建てる時も建てたあとも直接見ることが非常に少ないために、なにが良いのか、そして現状どうなっているのかわからない部分であると思います。
日々の過ごしやすさだけではなく、住んでからの光熱費を大きく左右する部分ですので、新築時やリフォーム時に妥協することなくしっかりと業者と話し合い、快適な日々が過ごせるようにしましょう。
また、断熱材が入っているにもかかわらず暑すぎたり寒すぎたりする場合は、メンテナンスや入れ替えが必要となっている可能性がありますので、一度断熱性能調査も検討してみましょう。