耐震

今だからこそ考えたい!屋根の軽量化で考える地震に強い家づくり

屋根軽量化

オオサワ創研の「住まいのコラム」をご覧いただき、ありがとうございます。
本日も、みなさまが知って得する住まいの情報をお届けいたします。

さて今回のテーマは「屋根」について。

 

 

 

2011年3月11日に起こった東日本大震災から、本日で5年。

このコラムを見てくださっている方の中にも「もう5年」と思われている方や、「まだ5年」と感じている方もいることでしょう。

前回のコラムでも少し触れましたが、私も去年2015年に被害があった東北のある地域を訪れ、ニュースや報道で私たちが見ているのはごくごく一部のことなのだと愕然としました。被災者の方々にとっては、まだなにも変わっておらず、過去のものにはなっていない中、強く復興の意思を持っている姿に心打たれたのでした。少し訪れただけの私でさえあの日の衝撃が風化することはなく、被害にあわれた方を思いながら本日2時46分に黙とうをささげました。

今後も日本では南海トラフ地震が高確率で起こると言われており、地震で悲しい思いをする方がひとりでも少なくなることをただただ願うのみです。

 

 

 

そこで本日のコラムは

「従来の瓦葺きの家はどれほどの重さと危険性を持っているのか」
「屋根が重いことで建物への負担が大きくなる原理と、屋根を軽くすることによる減震効果とは?」
「屋根を軽量化するだけで本当にいいのか」

でお送りしたいと思います。

 

 

従来の瓦葺きの家はどれほどの重さと危険性を持っているのか

よく私たち日本人が古くから見ている日本瓦と呼ばれる陶器瓦。あまりに当たり前に瓦の下に住んでいるため、あまり考えたことがない方がほとんどだと思いますが、私も最初瓦1枚を持ってみたときに思いのほか重いことに驚きました。それもそのはず、従来の瓦葺き(陶器瓦)は耐久性を上げるため非常に重く出来ており、瓦の重さだけでおよそ160kg/坪にもなるのです。さらに瓦の下に土が葺いてあれば200~250kgともなるため、平均的な広さのおうちでなんと6~7トンもの重さがあるのです!

 

重い屋根と地震の相性の悪さ

そして地震の揺れの大きさは「地動加速度」と呼ばれ、その地面の揺れを受けて建物が揺れる大きさは「応答加速度」と呼びます。地震が発生した際に、建物の揺れは地震の揺れよりも通常大きくなり、建物の応答加速度は、地動加速度の約3倍ほど大きくなるといわれています。そのため、地震による建物への負荷は、建物の重さに比例して増大するため屋根が重ければその分揺れは大きくなり、そして屋根が重いと建物の重心が高くなるため揺れ幅はより大きくなるのです。地震が来た際に重い屋根がどれだけ、柱や梁への負荷を大きくしてしまうか理解できるでしょう。

また地震の際に報告が多いのが、家屋が揺さぶられ、瓦が飛び、近隣の家を傷つけたり人を傷つけたりしたという問題です。台風の際に瓦が飛ばされたり、落下する場合もあるでしょう。

そのため可能な限り上部の重さを減らし、重心を下げること。それと同時に瓦が飛ばないようにする、定期的な点検や修復が重要なのです。

 

屋根が重いことで建物への負担が大きくなる原理と、屋根を軽くすることによる減震効果とは?

家屋上部の重量を軽くすることが非常に大切であることは前章でも述べました。
では屋根が重いとどのような原理で建物に負担がかかり、屋根を軽くすることでどのような減震効果が生まれるのでしょうか。

揺れの増幅を助長

一般住宅など背の低い建物は、背の高いビルに比べ、一般的に揺れ幅は小さくなり揺れるスピードも速いものです。しかし屋根が重く、重心が高い位置にあればあるほど揺れ幅は増大し、ゆっくりとゆれてしまうのです。振り子の原理と同様ですが同じ力で揺さぶっても、先端のおもりが重いほど大きく揺れますよね。建物が揺れると元に戻ろうとする力がさらに大きくなり、揺れの回数も増えてしまうことから、建物への負担が一層大きくなってしまうのです。

建物にかかる負荷

地震のときに建物にかかる力は、「建物の重さ×地震加速度」で求められます。
つまり、同じ建物と同じ地震の大きさでも、屋根の重さが違えばその分の重さに比例した力が建物にかかってしまうことになります。

屋根を軽くすることによる減震効果

そのため屋根を軽くすることは、地震の際の建物の揺れ幅を抑えることで、建物にかかる負荷を小さくすることに直結し、また耐震・免震・制震構造のどの建物においても発揮されるのです。

屋根を軽くすることによるその他の効果

屋根を軽くすることによるその他の効果も期待できます。建物に負担をかけないため、重い屋根の住まいに比べ、必要な壁が少なくて済むため、その分窓や開口部を多く採ることができ、明るく開放的な空間を設けることができるのです。「大きなLDKに吹き抜けがあって、大きな窓から光がたくさん採れる、地震にも強い家」にしたい場合は、屋根は絶対的に軽くする必要があります。
また、将来家族のライフスタイルの変化に伴う間取り変更の際にも、柔軟に対応できます。

 

屋根を軽量化するだけで本当にいいのか

では、屋根を軽くするだけで本当にいいのでしょうか。
これまで書いてきた内容と逆説的になってしまうかもしれませんが、もう一度家全体の耐震に視点を戻してみたいと思います。

一般的には屋根の荷重を提言すれば、前述したとおりもちろん効果があります。これは間違いありません。
ただし、ごくまれに屋根を軽くすることで建物のバランスを崩れ、かえって耐震的にマイナスな影響を及ぼしてしまう場合もあります。ただ屋根を軽くするだけでなく基礎や壁・梁・柱などの足腰も同時に強くすることも必要なのです。耐震性能を上げるためには、1階の強度が最重要項目であるため、耐力壁に変更するなど他の方法を採った方が、建物や状況によっては効果が高い場合もあるのです。

 

とはいえ、屋根の定期メンテナンスは忘れずに

とはいえ、「屋根をそのままにしておいてもいい」「後回しにすべき」というわけでもなく、

・瓦がしっかりと固定されているか
・瓦下の土は防水や耐震性に優れているのか
・棟瓦と野地が一体化されているか
・釘/ビス/銅線でしっかりと留められており、瓦ズレなどが起こってないか

などを定期的に点検し、災害時に人や近隣に迷惑をかけないよう、対策しておきましょう。

また「瓦の修理をするのであれば、一緒に軽量化も」と検討している場合は、

・軽量瓦や防災瓦に変更する
・コロニアルに変更する
・カラーベストの屋根に変更する
・ガリバリウム鋼板の屋根に変更する
・金属瓦(メタルルーフ)に変更する
・コロナ(金属瓦+天然石)に変更する
・ハイブリッド瓦に変更する
・棟の段数を少なくする
・棟に土をつかわない

などの選択肢があるでしょう。

確実に耐震性をあげるためには、耐震診断をきちんと受け、どこにどのような問題があるのかをきちんと認識したうえで、何をするべきなのか、そしてどこからお金をかけるべきなのか優先順位をつけながら、家全体の耐震性を高めましょう。