健康・eco

木材劣化が怖い自然素材住宅に必要なシロアリ対策を考える

木材劣化対策

オオサワ創研の「住まいのコラム」をご覧いただき、ありがとうございます。
本日も、みなさまが知って得する住まいの情報をお届けいたします。

さて今回のテーマは「木材劣化対策」について。

 

 

 

突然ですが「新国立競技場建設」、思いもよらずうまくいかないものですね。

この新国立競技場のデザインで特色的なポイントが木材が多く採用されていること。なぜこんな大きい建物に木材?と思われた方も多いのではないでしょうか。このニュースを見ていて思うことがたくさんあったのでした。

 

そこで本日のコラムは

「新国立競技場建設について思うこと」
「建築業界で木材使用がまた見直されている理由とは?」
「木材の劣化を起こす木材腐朽菌について」
「木材劣化の対策について」

でお送りしたいと思います。

 

 

新国立競技場建設について思うこと

本日ニュースで、3月2日夜に事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)と大会組織委員会との話し合いの中で、聖火台を設置する場所が場内でできないかもしれないと、今になって問題になっているという報道をみてビックリしました。

これまで第1案では予算が高くなりすぎると、決まっていた建設案を破棄し、第2案を募集。やっと決まった建設案に木材が多く使用されていることが大きなポイントでした。

ですがその木材が多く使用された建設案の中に、次は聖火台設置をどこにするのかがきちんと組み込まれた案ではなかったため、今になって消防法上の問題や、客席に死角がうまれてしまう問題や、追加費用やこれから実験をするため時間がかかってしまう。

そのため代替案として事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)側が、場外に設置することを提案しましたが、聖火台を場外に設置することは、夏季五輪では非常に異例であるとのことで大会組織委員会は反発し、新たに検討チームまで発足されることに。

北京オリンピックや、リオオリンピックで建築や周りの環境づくりなどうまくいかないニュースを見ていて、正直そんなことがあるの?と対岸の火事のように思っていたものですが、ここ日本の東京オリンピックで、こんなにも問題が山積するなんて予想だにしていませんでした。

もちろん、国立競技場として様々な用途でこれから長い期間使用されるものであり、かつオリンピックという世界的に大きな意味のあるメイン競技場の建築にまつわることなので非常にシビアなものではあるとはいえども、日本のトッププロジェクトがこんなにも難航するなんて・・・。

 

お客様に迷惑をおかけしてしまうことにならないようにしないとなと、あらためて私たちも襟を正したニュースでした。

 

建築業界で木材使用がまた見直されている理由とは?

さて、この新国立競技場のデザインで特色的なポイントが、前述したとおり木材などの自然素材が多く採用されていること。

これまで耐久性などを考慮してコンクリートなどで造られたものがほとんどでしたが、最近自然素材が多く使われている公共施設が増えたと思いませんか?実は昨今日本国内のみならず、世界中で自然素材を多く使用されている公共施設が多く建築されています。

その理由としては、接着剤や薬品などの新技術開発により、かなり耐久性・耐候性・耐用年数が上がったため、最近の建築業界では「木材」を代表する「自然素材」が見直されてきているのです。また特殊加工により、燃えない木にすることも可能になったことも採用しやすくなった大きなポイントでしょう。またメンテナンスする際も、傷んだ部分のみを交換することが容易であることも、木材の大きなメリットのひとつです。

そしてなにより木材を中心とした自然素材が日本の気候下で適していること。そして接する人々の健康に優しいことなどから、住宅用建物でもそのシェアは近年伸び続けています。

 

では、木材を採用する住まいに問題はないのでしょうか。それは「木材の劣化」です。

どんな素材でも問題のない素材はなく、もちろん必ず定期的なメンテナンスが必要です。その中で自然素材で造られた住宅が劣化する原因は、どのようなものがあるのでしょうか。

 

木材の劣化を起こす木材腐朽菌について

木材の劣化を起こす要因として、問題であるのが「木材腐朽菌(ふきゅうきん)」と「シロアリ」などです。

他にもカミキリムシ、タマムシ、ヒラタキクイムシ、クロタマムシなど、いわゆる木材劣化昆虫と呼ばれる虫や、カビなども原因として挙げられますが、本コラムでは「木材腐朽菌(ふきゅうきん)」と「シロアリ」にクローズしていきたいと覆います。

 

木材腐朽菌について

木材の劣化原因で、最も多いのが木材腐朽菌(ふきゅうきん)です。

腐朽菌は木を食べて分解しています。腐朽菌による食害などの被害が進行した木材は、内部が分解されてスカスカになっていきます。密度が低くなれば当然重量も軽くなるため、木材の強度を落とし住宅の安全性を損ない、住まいの寿命を短くしている要因なのです。

木材は重量が10%軽くなると、強度は60%に落ち、20%軽くなると、強度は40%にまでも低下してしまうため、その影響は甚大なものです。実際に阪神淡路大震災で崩壊した木造住宅の、実に8割にシロアリや木材腐朽菌による劣化が確認され、逆に1981年に改正された現行の耐震基準に適合し、なおかつ適切な施工管理、工事管理が行われた木造軸組み住宅は、見た目に大きな被害がないか、もしくは軽い被害でとどまったという住宅がほとんどだったといいます。

木材腐朽菌は湿度30%以上になると活動を始めるため、高温多湿の日本では、木造住宅を建てる場合は腐朽菌対策は必須と言えます。また梅雨に入る前のこの時期に対策をしておくのが賢明でしょう。

 

シロアリについて

古くから住宅に大きな被害をもたらしてきたのは、在来種の「ヤマトシロアリ」と外来種の「イエシロアリ」でした。ヤマトシロアリは日本で最も数の多いシロアリで、北海道の一部を除く日本全域に生息しています。またイエシロアリは攻撃力が最も強い種で、温暖化に伴い生息範囲が拡大しています。

シロアリ生息分布図

 

そして戦後アメリカから持ち込まれた「アメリカカンザイシロアリ」は上記のシロアリとは異なり、その名のとおり乾燥した木材を好みます。またアメリカカンザイシロアリは、羽があるため屋根裏や窓からの侵入が可能なため、床下に蟻道などをつくらず乾燥した2階部分の柱や天井、家具、木製品など複数箇所のいたるところに巣を作っていきます。

シロアリの被害1 シロアリの被害2 シロアリの被害3

 

これまで床下のシロアリだけを警戒していた日本のシロアリ対策として、床下や壁の中に湿気がたまらないよう工夫してきた住宅が、今度は乾燥を好むアメリカカンザイシロアリにとって、格好の餌食となってしまうのです。

2009年1月に、NHKの「クローズアップ現代」でアメリカカンザイシロアリの特集が放映され多くの方に知られるようになったこの外来種は、一度住み着いてしまうと駆除が大変困難なシロアリ種なのです。大手シロアリ防除業者の報告でも完全駆除は10軒に1軒ほどの確率でしか成功せず、残りの9軒は何度も駆除処理を繰り返す必要があります。しかも近隣のアメリカカンザイシロアリに蝕まれた家から、再度飛来して侵入されてしまう危険が高いという、困ったシロアリ種なのです。

 

木材劣化の対策について

では、木材劣化についてどのような予防や対策が有効的なのでしょうか。

 

もともと害虫駆除には、強い殺虫剤が使われることが一般的でした。ただその合成殺虫剤は健康被害の恐れがあったり、3~5年で効果がなくなったり、ニオイが強いことが原因でした。また、古くからいるシロアリだけではなく、アメリカカンザイシロアリにも効果がある対策が求められていました。

その中で現在最も効果があり、身体にも優しいとされているのが、新築時やリフォーム時などに「家一棟まるごとホウ酸処理」を施すことです。ホウ酸は、土壌、川、海など自然界のどこにでも存在しており、目薬にも使われています。また植物には必須栄養素で、人間は野菜や果物を食べることで、必要なホウ酸を摂取しています。

ホウ酸は、殺虫剤と異なり、揮発することがないため、お部屋の空気を汚さないので赤ちゃんやペットのいるおうちにも安心であり、シックハウスの心配もないのです。

18世紀につくられたバイオリンの名器・ストラディバリウスの防虫対策にホウ酸が使用されていることは有名なはなしであり、シロアリ研究の世界的権威であるフロリダ大学のナンヤオ・スー教授も「すべての未処理剤にホウ酸水溶液を噴霧することが有効な予防方法である」と発表しています。

すべての構造材に防蟻処理が必要なアメリカ・ハワイ州では1990年代からそのほとんどをホウ酸で処理しており、ホウ酸処理をすると、シロアリだけではなく腐朽菌や、ゴキブリやアリ、キクイムシなどの様々な虫にも効くこともうれしいポイントですね。

 

まとめ

今回ご紹介してきた木材劣化は、みなさまのおうちに症状として現れていませんでしょうか。

家の建材という、普通の生活の中では見えない箇所で知らないうちに侵食されている可能性もありますので、定期的な診断とメンテナンスを心がけましょう。

 

また、生活の中で気づくシロアリ発生のシグナルも最後にご紹介しますので、みなさまのおうちに当てはまる事象がないか確認してみましょう。

・床がぶかぶかする
・羽アリを発見した
・羽が落ちていたり、糞粒が落ちている
・ふすまやドアをスムーズに開け閉めできない
・浴室の窓枠や敷居が水腐れしている
・床下の基礎表面などに、土で固めたような道(蟻道)がある
・木材の割れ目やすき間に土が詰まっている
・浴室のタイルにひびが入っている
・木材をたたくとポコポコ音がする
・外壁や内壁にひびが入っている

 

もし、心当たりがある場合は早めにシロアリ診断を検討しましょう。

 

 

木材劣化対策については、下記のページもご覧ください。

木材劣化対策